以心会

広報誌「エヌアイだより」第 93号

年末年始の診療について

12月30日(火)より1月4日(日)まで休診いたします。1月5日(月)より通常の診療となります。

28(日)29(月)30(火)31(水)1/1(木)2(金)3(土)4(日)5(月)6(火)
午前/休診
午後///

午前:9〜12時
午後:17〜19時


広報誌「エヌアイだより」第 92号

病院マイクロバス減便のお知らせ

病院マイクロバスを2025年8月1日より減便いたします。

病院発知立発
月~金月~金
800 4500 45
3030915 4515 45
00 3000 301015 4515 45
00 3000 30111515
00 3000 3012
00 5500 5513
14
3015
16
3017
18

◎は土曜日のみ運行  /  △は土曜日運休

減便のお知らせ

 枠の便を、2025年8月1日より廃止します。


訪問看護ステーションなかの 閉鎖のお知らせ

JED Projectへの参加について

面会のご案内

面会のご案内

面会が出来る時間

平日13時~19時
土・日・祝日13時~18時

面会者の入り口案内


休診日は正面玄関を施錠しています。ご面会は、西側通用口からお入りください。


面会の方へのお願い


  • 病室には患者さんのお名前を掲示していません。
  • ナース・ステーション窓口で「面会申込用紙」に必要事項を記入していただきます。
  • 面会時間内でも、診療やその他の都合により、お待ちいただいたりお断りする場合もありますのでご了承ください。
  • 個室以外での面会は、できるだけ談話室をご利用ください。
  • お子様連れや大勢での面会はできるだけご遠慮ください。
  • 病棟での携帯電話の使用はご遠慮ください。
  • 電話による入院患者さんに関するお問い合わせ等については、お答えできませんのでご了承ください。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLDについて)

副院長:安藤拓也

 非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD(ナッフルディー))というのは聞き慣れないと思いますが、アルコール以外が原因の脂肪肝の総称で、過食と運動不足による肥満が主な原因になります。肥満人口の急増、生活習慣の変化により、NAFLDの患者さんは増加しており、最も頻度の高い肝疾患になっています。今回は、脂肪肝のなかでも非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)について説明します。

NAFLDとは

 脂肪肝は様々な原因により肝臓の細胞内に中性脂肪が過剰に蓄積した状態です。アルコールの飲み過ぎが原因であるアルコール性脂肪肝と、アルコール以外が原因の脂肪肝(NAFLD)に分けられます。NAFLDの患者さんのアルコール摂取量は、男性で 1 日 30 g 未満,女性で 1 日 20 g 未満になります。男性ではビールなら750mL(大瓶1本強)、日本酒なら1合半、ワインではグラス2杯半、ウイスキーではダブルで1杯半よりも少ない1日の飲酒量(女性ではその2/3以下)になります。
 NAFLDの80~90%は、病態がほとんど進行しない非アルコール性脂肪肝(nonalcoholic fatty liver ; NAFL)ですが、10~20%は肝臓の組織に炎症や線維化(硬くなる)が進行する非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis ; NASH)と呼ばれ、肝硬変や肝臓癌に進行する危険性があります。単に肝臓に脂肪がついただけと軽く考えずにしっかり治療することが重要です

原因

 NAFLDはメタボリックシンドロームの肝病変です。主な原因は過食と運動不足による肥満であり、多くは糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病を合併しています。食事では、総エネルギー摂取量、糖質や脂質の摂取量が多いと、肝臓に脂肪が沈着しNAFLDを発症しやすくなります。特に糖質のなかでも、ソフトドリンクや嗜好品からの果糖やショ糖などの単純糖質の摂取が過剰であると、肝細胞の脂質合成が促進します。
 近年の肥満の増加を背景にNAFLDは増加しており、健診では男性の約40%、女性の約20%に見つかります。年齢は、男性は中年層、女性は高齢層に多い傾向であり、女性は閉経後に増加します。肥満、特に内臓脂肪の蓄積と相関が強く、皮下脂肪型肥満の場合は約30%、内臓脂肪型肥満の場合は約50%に脂肪肝の合併がみられます。

診断

 脂肪肝には自覚症状はありません。日常診療においてアルコールをあまり飲まない人で、超音波検査、腹部CTなどの画像検査で脂肪肝を認めれば、NAFLDを疑います。
 特に超音波検査は簡便であり、診断には有用です。


超音波検査:肝臓が脂肪で白く写ります

CT検査:肝臓が脂肪で黒っぽく写ります


 血液検査では、AST、ALTなどの肝機能の軽度上昇が特徴であり、B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎や自己免疫性肝疾患などの他の肝臓病が無いことを確認できれば、NAFLDと診断します。
 NAFLD と診断された患者の36.2%がメタボリックシンドロームを合併しており、90%以上の患者さんで肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病を合併しています。


治療

 NAFLD治療の原則は、食事療法・運動療法による肥満の改善が重要です。
 体重を7%以上減量すると脂肪肝が改善します。少しずつ標準体重を目指すことをお勧めします。 
 運動療法は、歩行やジョギングなどの有酸素運動による体重減少が有効です。1日30分以上の有酸素運動を週に3、4回行いましょう。筋トレなどのレジスタンス運動も有用で、筋肉量が増えて基礎代謝が高まるので、体重減少が見られなくても脂肪肝が改善します。
 食事療法では、カロリー制限が重要で、炭水化物や脂質を制限した適切な量の食事を心がけて体重を減らしましょう。過剰に摂取された糖質は中性脂肪に変換され、肝臓の脂肪が増えます。糖質の中でも特に果糖の過剰摂取は肝臓の線維化と関連しており、果糖の多いソフトドリンク、果物などは減らしましょう。また多価不飽和脂肪酸(魚油、EPA・DHA、コーン油)、一価不飽和脂肪酸(オリーブ油、ナッツ類)は多く摂取した方が良いとされています。
 食行動の改善も有効であり、「早食い」、「朝食を食べないこと」、「遅い夕食、夜食」も体重を増加させる原因になるので、改善が必要です。
 薬物治療には、確立された治療法はありません。糖尿病、高血圧、脂質異常症などを合併している場合には、その薬物治療が重要であり、NAFLDの治療としても有効です。肥満や基礎疾患のない場合には、抗酸化作用をもつビタミンE製剤を使用することがあります。

おわりに

 NAFLD の患者さんはメタボリックシンドロームの合併が多いため、動脈硬化による心血管障害や脳血管障害が大きく影響します。また長期間にわたる肝臓の慢性炎症によって肝臓が硬くなり、肝硬変へ進展し、肝臓に癌が発生することもあります。NASH が原因である肝硬変から年率2%で肝臓癌が発生すると言われています。自覚症状はなく、知らない間に病状が進行してしまう危険性もありますので、年に1回は健康診断や人間ドックで血液検査や超音波検査を受けることが重要です。また肥満の人、糖尿病や脂質異常症で治療を受けている人も、定期的に血液検査や腹部超音波を行い、脂肪肝の有無や肝機能の数値を調べることをお勧めします。
 脂肪肝は肝臓癌の原因にもなる危険性もありますので、肝臓に脂肪が付いただけと軽く考えずに、食事療法・運動療法を行って肥満を改善することが大切です。


膵臓癌 早期発見のために

医師:上田 悟郎

はじめに

 膵臓はみぞおちの下あたりにある、オタマジャクシのような形をした臓器で長さは12~20cmほどです。



膵臓の大きな働きとして、体の内分泌機能と外分泌機能を調整しています。内分泌機能とはインスリンのように血中に放出されて血糖を調整する作用のことをいいます。また外分泌機能とは膵液という食べ物を消化する酵素が含まれた消化液を消化管に放出し食べ物の消化を助ける作用のことをいいます。
 膵臓癌の約9割は膵液が分泌される膵管上皮(膵管の内側の細胞)から発生します。また頻度は少ないですが、消化酵素を作る腺房細胞から発生する腺房細胞癌や、ホルモンを分泌する細胞から発生する神経内分泌癌があります。
 膵臓癌は非常に診断と治療の難しい癌で、診断がついた段階で手術できる患者さんはわずかに約20%に過ぎません。また切除できても術後の再発率が高く、術後の5年生存率は20-40%と不良です。また膵臓癌と診断された患者さんの5年生存率はわずか10%前後といわれています。その理由の1つとして、膵臓癌の早期発見の難しさに原因があります。

症状

 膵臓癌は早期ではほとんど症状がなく、症状が出現する頃にはかなり進行しています。膵頭部(オタマジャクシの頭側)に癌が発生すると皮膚や目が黄色くなる黄疸が生じることがありますが、膵体尾部(オタマジャクシの尻尾側)に発生した癌はかなり大きくなるまで症状が出にくいです。そしていずれの部位にできた癌も癌が大きくなり、周囲の組織に広がると、ようやく腹痛や背部痛として症状が出現します。また体重減少や、食欲減退、糖尿病の発症(悪化)等もこの頃から出現します。しかし、このような症状が出現した頃には手術で切除することができない状態になっています。
 膵臓癌を早期発見するためには、まず膵臓癌の発症リスクを知って自分にそのリスクがあるかどうかを知ることが重要です。

膵臓癌のリスク因子

①家族歴:家族に膵臓癌のある人がいる。
②糖尿病:約2倍リスクが高くなる。特に最近発症した糖尿病や、糖尿病の急な悪化は膵臓癌が併存している可能性がある。
③喫煙:約1.7-1.8倍リスクが高くなる。
④肥満:約1.3-1.4倍リスクが高くなる。
⑤飲酒:約1.1-1.3倍リスクが高くなる。
 (1日あたりビール 約500~1000ml摂取)
⑥遺伝性膵炎:アルコールや胆石症以外が
 原因の膵炎を若い時に発症したことがある。
⑦慢性膵炎:慢性膵炎と診断されて2年以上経過後に膵臓癌の発症が増える。
⑧膵のう胞:膵臓の内部や周囲にできる様々な大きさの「袋」が時間経過とともに大きくなり、癌に進行することがある。膵のう胞は膵臓癌のリスク因子として経過観察を行う必要がある。

検査

 膵癌の早期発見のために最近、腹部超音波検査の重要性が注目されています。腹部超音波検査はお腹に超音波を発信する装置をあて、内臓からの超音波の反射波を読み取り、お腹の画像をモニターに写す検査です。腹部超音波検査は消化管ガスの影響や体型(肥満)によって、が難しいことがありますが、比較的体への負担が少なく安全な検査です。
 前述の膵臓癌のリスク因子、症状(腹痛、黄疸など)、採血での膵酵素・腫瘍マーカーの異常を認めた場合には積極的に腹部超音波検査を行うことが推奨されています。また健診や人間ドックでも腹部超音波検査を行うことができるので、積極的に活用した方がよいと思います。
 腹部超音波検査で膵臓に異常を認めた場合には、さらに超音波内視鏡(EUS)やCT、MRIなどの画像検査や血液検査を追加して診断を進めていきます。
 もし、膵臓癌と診断された場合には、周りの臓器への広がり、リンパ節や他の臓器への転移の有無によりステージ(進行度)が決まります。

治療

 膵臓癌の治療には主に癌を切除する「手術」と抗がん剤を使う「化学療法」があります。治療方法は癌のステージ(進行度)によって決まり、組み合わせて行う場合もあります。最近では、手術前に抗がん剤を使用し、癌を小さくしてから手術を行い、さらに手術後に再発を予防するための抗がん剤を追加で行う治療方法もあります。また手術治療でも最近では、傷の小さい腹腔鏡手術やロボット手術も健康保険に適応され、今後これらの手術も増えていくと予想されます。

おわりに

 膵臓癌は未だに予後が厳しい疾患ではありますが、早期発見、早期治療ができるように自分自身のリスク因子等を理解し、積極的に腹部超音波検査を活用しましょう。


アニサキス症

医師:神谷 賢吾

アニサキス症とは

 アニサキス症は、アニサキスが胃壁や腸壁に刺入して引き起こす寄生虫症です。アニサキスはイルカ、クジラ、アザラシなどの海洋に生息する哺乳類を終宿主とし、これらの胃に寄生する線虫です。虫体の多くは、長さが2~3cm、幅は0.5~1mmぐらいで、白色で少し太い糸のように見えます。
 ヒトへの感染源となる魚介類は、日本近海で漁獲されるものでも160種を超えるとされています。「しめ鯖」などのサバでの感染が最も多いですが、この他アジやイワシ、イカ、サンマなどが感染源になる魚介類として注意が必要です。

疫学

 感染源が魚介類の生食であるため、かつては11~4月の冬季に多くみられましたが、鮮魚の流通の発達などもあり近年では6~9月の夏季も含め1年を通して発生しています。本邦では年間~400件台の届出報告がありますが、届出をされていないものも含めると年間推計で7,000件に上るとの報告もあります。
 日本人は寿司・刺身などで魚介類を生食する習慣があることから、海外に比べ非常に多くみられます。
 アニサキスが感染する部位は、胃が90%以上と圧倒的に多く、次いで小腸、十二指腸となっており、ときに咽頭、食道や大腸にも虫体が確認されることがあります。

症状

 感染部位により胃アニサキス症と腸アニサキス症に分けられます。
 胃アニサキス症では摂取から8時間以内、腸アニサキス症では数時間~数日以内に、持続する激しい腹痛や悪心・嘔吐が起こり腹膜炎の症状を伴ったり、腸閉塞や腸重積を起こすこともあります。また5%程度の割合でアレルギー反応として発熱、蕁麻疹などの全身症状を伴うこともあります。また、症状が軽微で自覚症状も無く、健診などで偶発的に見つかることもあります。

診断

 最も重要なのは発症前の生鮮魚介類摂取を確認して本症を疑うことです。摂取歴と症状からアニサキスの感染を疑えば、まず上部消化管内視鏡検査を行います。虫体が確認されれば確定診断となります。感染は1匹とは限らず、同時に複数の虫体が見つかることもあります。刺入部周囲の胃粘膜は浮腫やびらん、点状出血などを起こし、炎症が強いと胃潰瘍などを伴うこともあります。
腸アニサキス症では内視鏡検査で調べられる範囲でないと虫体の確認は困難であり、病歴から疑われた場合、他の病気との鑑別のために腹部CT検査などを行います。CTでは小腸の壁肥厚、腸閉塞所見や腹水などがみられることがありますが、腸アニサキス症と診断することは難しいです。

治療

 アニサキス症の最も確実な治療は、内視鏡で粘膜に刺入している幼虫を確認し、生検鉗子で摘出することです。通常、虫体を除去すれば腹痛は速やかに消失します。しかし、上腹部症状が持続する場合や、腸閉塞症状がみられる場合は、胃以外の消化管で感染している可能性もあり、入院治療を行います。
 アニサキスはヒト体内では生きていけず1週間程度で自然死滅しますので、虫体が摘出できなくても保存的治療で基本的には治癒します。



上部内視鏡画像

予防

 アニサキスは60℃で1分、70℃以上では瞬時に死滅します。冷凍処理によりアニサキス幼虫は感染性を失うので、魚を-20℃以下で24時間以上冷凍することは有効です。酸には抵抗性があり、「しめ鯖」のように一般的な料理で使う程度の食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても死ぬことはありません。加熱調理するか、十分に冷凍してから調理することが効果的です。

 アニサキス症は上記の予防策を守れば基本的に防げる病気です。とは言え、新鮮な魚介類を生で食べるという文化は日本において慣れ親しんだ文化であり、美味しさを求めるには解凍食材では…と悩ましく思う方もいるかもしれません。
 感染しうる条件を頭に置いておくこと、疑わしい食事後に症状を起こした際には、受診の際にその食事内容を伝えることが速やかな診断、治療のために大切です。