以心会

胃粘膜下腫瘍について

医師:加藤 瑛

胃粘膜下腫瘍とは

ポリープや癌は上皮性腫瘍と言って胃の表面の粘膜から発生しますが、粘膜下腫瘍は胃の粘膜の下から発生します。胃粘膜下腫瘍は胃の正常粘膜に覆われており、胃カメラ検査では胃の内腔に盛り上がっているように見えます。


《胃カメラ画像》

胃粘膜下腫瘍には治療を必要としない良性の病変もあれば、治療を要する悪性の病変もあります。病変の本体が胃の粘膜下に存在するため、胃カメラ検査の見た目だけでは良性の病変なのか悪性の病変なのか判断が難しい場合があります。治療の必要がない良性のものには脂肪腫、平滑筋腫、迷入膵、嚢胞などが挙げられます。治療が必要な粘膜下腫瘍として代表的なものにGIST(gastrointestinal stromal tumor:消化管間質腫瘍)が挙げられます。GISTは癌ではありませんが、悪性度が低いものから高いものまであり、悪性度の高いものは進行すると肝臓、腹膜、肺などに転移をすることがあります。そのため胃粘膜下腫瘍が指摘された際には主にGISTを念頭に追加検査や治療の必要性について検討を行うことになります。


《胃の断面像》

症状

ほとんどが無症状で、検診の胃バリウム検査や胃カメラ検査で偶然見つかることが多いです。粘膜下腫瘍の表面に潰瘍ができると出血をして吐血や黒色便をきたすことがあります。

胃粘膜下腫瘍の診断

検査としては胃カメラ検査、腹部CT検査、超音波内視鏡検査(EUS)などがあります。ポリープや癌などの上皮性腫瘍と異なり胃粘膜下腫瘍は胃の粘膜下に病変が存在するため、通常の生検による診断が困難です。そのためこれらの検査を用いて胃粘膜下腫瘍が治療を要するものかどうかを総合的に判断します。

治療

胃粘膜下腫瘍のうち症状があるもの、生検でGISTの診断がついているものは原則として手術適応となります。無症状で生検による診断術適応となります。無症状で生検による診断がついていない場合は腫瘍の大きさによって治療方針が変わります。増大傾向が見られる場合は腫瘍の大きさに関わらず手術が検討されます。

①腫瘍の大きさが2cm未満

潰瘍形成、辺縁不整といった悪性所見がなければ年1~2回の経過観察を行います。

②腫瘍の大きさが2~5cm

CTや超音波内視鏡検査を行い、悪性所見を認めれば手術適応になります。悪性所見がない場合でも手術が検討されますが、経過観察も許容されます。

③腫瘍の大きさが5.1cm以上

GISTの可能性が高く、手術適応となります。
通常GISTに対しては腫瘍を含めて胃を部分的に切除します。リンパ節に転移することは通常ありませんので胃癌のように胃を大きく切除する必要はありません。当院では主に腹腔鏡手術を施行しています。切除した腫瘍の病理組織学的検査で確定診断を行います。GISTの場合はリスク分類を行い、高リスクに該当した場合は術後治療が必要となる場合があります。

最後に

胃粘膜下腫瘍には良性のものから悪性のものまで含まれており、無症状でも治療が必要な場合があります。直ちに治療が必要でない場合でも、定期的な経過観察が必要です。健康診断の胃バリウム検査や胃カメラ検査の結果で胃粘膜下腫瘍を指摘された場合は病院を受診して治療方針を相談することをお勧めします。


胃潰瘍とは

医師:齋藤 慎一郎

 上腹部痛を訴えて来院される患者様の中には、胃潰瘍を心配され内視鏡検査を希望される方が多くいらっしゃいます。そもそも胃潰瘍とはどんな病気なのでしょうか?

 胃潰瘍とは何らかの原因により、胃の壁が粘膜より深い層まで傷ついた状態をいいます。(粘膜までの傷を「びらん」といいます)


十二指腸のはじめの数cmにも潰瘍が発生することがあり、胃潰瘍と合わせて消化性潰瘍と呼ばれています。
 胃潰瘍の患者数は減少傾向にあり、1990年代と比較して2014年には約1/4まで減っているという報告がありますが、依然として多くの発生を認めます。患者数減少の要因としては、2000年より胃十二指腸潰瘍に対するピロリ菌除菌治療の適応が認められ、さらに2013年にはピロリ感染性胃炎に対しても除菌治療の適応が拡大され、ピロリ菌に感染した患者さんが急速に減ったことが大きく関係しているといわれています。

原因

 胃潰瘍はどのようにして起こるのでしょうか?胃粘膜防御機構という考え方があり、攻撃因子である胃酸の分泌が過剰になったり、胃粘膜を守る防御因子が弱くなったりすることで、攻撃と防御のバランスが崩れて胃の壁の損傷が引き起こされると考えられています。具体的な原因としては、ピロリ菌感染と薬剤性によるものが2大要因として知られています。両者とも胃酸の分泌過剰ではなく、胃粘膜保護の防御因子の破綻が関連しているといわれています。
 ピロリ菌感染が原因の胃潰瘍は男性に多く、単発性で胃の真ん中から上部に認められることが多いです。ピロリ菌は胃に感染する細菌で、胃炎・胃潰瘍・胃癌の発生に関連します。ほとんどの場合小児期に感染し、除菌を行わないとピロリ菌に感染した状態が持続します。前述のようにピロリ菌の除菌が進み、以前よりかなり減少したといわれています。
 薬剤性の胃潰瘍は、鎮痛薬として用いられる非ステロイド性抗炎症剤や、抗血栓薬として用いられる低容量アスピリンなどが原因となります。高齢女性に多く、胃の出口側に多発することが多いです。また出血や狭窄などの合併症の頻度も比較的高いといわれています。
 これらの2大要因以外の原因はどうでしょうか?胃癌やリンパ腫の様な腫瘍によるもの、サイトメガロウィルスや梅毒等の感染によるものなど様々な原因があります。原因がはっきりしない潰瘍もあり、突発性潰瘍と呼ばれています。突発性潰瘍の原因としては高齢、背景疾患、ストレス性などが誘因といわれており、胃潰瘍全体の約12%を占めるという報告もあります。最近の報告としては2011年に発生した東日本大震災後に、ある被災地における潰瘍の発生が1.5倍に、出血性胃潰瘍の発生が2.2倍に増えたというデータがあります。突発性胃潰瘍の原因としてストレスが大きく関わっている可能性があります。

症状

 胃潰瘍の症状は腹痛・吐き気・胃部不快感など様々ですが、まったくの無症状のこともあります。また出血・穿孔・狭窄などの合併症が起こることもあります。約2/3の患者さんが上腹部痛を認め、痛みの性状としては鈍く、疼くような、焼けるような痛みとなることが多いです。食事との関連は強く、潰瘍の部位により、食後や空腹時や夜間に痛みを呈します。また約半数の患者さんには、嘔吐や吐き気を認めます。
 胃潰瘍から出血を伴うと、吐物の中に血性や黒色の成分が混じることや、タール便といわれる黒色の便が出ることもあります。出血量が多量になると、頻脈や血圧低下といった貧血に伴う症状が現れ、内視鏡による止血や手術・輸血などの処置を要します。
 胃潰瘍が深く胃の壁に穴が開いてしまうと、胃の内容物が漏れ出し、腹膜炎を起こし持続する強い腹痛を認めます。潰瘍が穿孔した場合には、緊急手術が必要なことが多く、腹膜炎がひどいと致命的となることもあります。

治療

 胃潰瘍の治療としては、胃酸を抑える薬や粘膜を保護する薬などを内服することにより行います。胃潰瘍の原因となる薬剤の内服があれば、可能な限り薬の中断や変更を行い、その後ピロリ菌感染が確認されればピロリ菌の除菌治療を行います。また癌などの腫瘍が関係していないか、内視鏡にて細胞を採取して検査します。
 診断時の内視鏡検査にて、胃潰瘍からの出血が認められた場合には止血処置を行い、貧血が認められれば、輸血や鉄剤などの貧血治療も行います。大きな潰瘍や症状が強い場合には、入院による治療が必要となる場合もあります。内視鏡での止血が困難であったり、狭窄や穿孔などの合併症が起こっている場合には手術を行うこともあります。
 胃潰瘍治療中の食事については、カフェイン、たばこ、アルコール、香辛料などの胃酸の分泌を促す食品や刺激物の摂取を控え、消化の負担となるような脂肪や食物繊維の多い食事を避け、出来るだけ消化のよいものを摂取しましょう。また自分にあったストレス解消法を見つけ、規則正しい生活・食生活を心掛けてゆっくり休むことも大切です。


マロリー・ワイス症候群と特発性食道破裂

医師:神谷 賢吾

激しく嘔吐してしまった時などに出血を生じることがあります。このような時にはマロリー・ワイス症候群や特発性食道破裂という疾患が起きている可能性があります。

どんな病気か

マロリー・ワイス症候群(Mallory-Weiss症候群)とは、嘔吐などにより腹圧、胃食道内圧が急激に上がることで、食道と胃の境目の表面が縦に裂けて出血してしまう疾患です。この裂傷は粘膜下層までに生じ、粘膜下の動脈から出血します。通常は胸痛や腹痛を伴いません。


《マロリー・ワイス症候群内視鏡写真》

特発性食道破裂はBoerhaave症候群とも呼ばれ、やはり食道内圧が上昇したときに、食道が壁の外側までの全層で裂けて穴が開いてしまう疾患です。穴が開いた部分から細菌感染が広がり命に関わります。通常は強い痛みを伴います。

原因

マロリー・ワイス症候群や特発性食道破裂は、繰り返しかかる腹圧によって食道と胃の境目の壁が何度も勢いよく広げられ、粘膜面が縦方向に裂けることで起こります。アルコールを飲んだ後に嘔吐を繰り返すことが原因となることが多いといわれていますが、それ以外に、しゃっくり、くしゃみ、咳、喘息発作、腹部打撲、排便や出産時のいきみなどが原因となる場合もあります。


《マロリー・ワイス症候群》

症状

マロリー・ワイス症候群では、繰り返す嘔吐後に吐血、下血、心窩部痛、立ちくらみなどを起こします。特発性食道破裂では嘔吐反射直後、突然バットで殴られたような胸痛や腹痛、背部痛などの強い痛みが起こります。破裂後時間がたつとショック症状など重篤な状態になってしまいます。

どのような方に多いか

マロリー・ワイス症候群の好発年齢は30~50歳、約90%が男性です。飲酒後の嘔吐での発生が30~50%を占めます。萎縮性胃炎がある場合は粘膜の伸びに弱くなり発症しやすくなり、胃の入り口が広がりやすくなる食道裂孔ヘルニアがあると胃の内圧が上がりにくいことで発症しにくくなるともいわれています。特発性食道破裂の好発年齢も30~50歳の男性とされ、やはり飲酒後の嘔吐で発生することが50~80%と多くを占めます。

診断

嘔吐に続き起こる吐下血など、急な腹圧上昇を来す状況の有無を確認することである程度診断することができます。上部消化管内視鏡で粘膜裂創の有無とそこからの活動性出血を確認することで確定診断できます。マロリー・ワイス症候群の場合は裂創の深さは65%が粘膜下層までにとどまり、筋層まで達するのは30%程度です。
特発性食道破裂が疑われた場合は、レントゲンやCTでの食道の外側への空気の漏れ(気腫)や胸水を認めたり、食道造影で造影剤が食道の外に漏れる所見を認めれば、食道破裂と診断されます。内視鏡検査では破裂部位を直接確認できますが、破裂部をさらに悪化させる可能性もあり注意が必要です。


《食道造影での造影剤漏れ》

治療

マロリー・ワイス症候群では内視鏡検査時に止血している場合は特に処置は必要としません。出血がみられる場合は内視鏡的に止血します。裂創が深い場合は入院の上で絶食・輸液、酸分泌抑制薬投与などを行い治療します。ほとんどの場合、自然止血がみられ、その後再発することは、あまりありません。特発性食道破裂の場合は、緊急手術での破裂部の縫合閉鎖、ドレナージ術(ドレーンチューブを留置し、たまった滲出液・膿・血液などを排出すること)が必要になります。早期に治療を行った方が救命率は高くなります。


《内視鏡的止血写真》

予後

マロリー・ワイス症候群では、多量の出血が出ない限り基本的に良好です。
食道破裂の場合、昔は死亡率40%台と予後不良な疾患でしたが、医療技術の進歩により現在では10%前後まで低下していますが、致命的となる可能性がある重篤な病気であり、早期診断・早期治療が特に重要です。

最後に

嘔吐した時に出血した場合や嘔吐後に強い胸痛や腹痛を認めた場合には、マロリー・ワイス症候群や特発性食道破裂の可能性もありますので、消化器専門の病院を早めに受診してください。また適切量の飲酒を心がけて、嘔吐するまで飲酒することは避けましょう。


入院受付と手続きに必要なもの

入院受付と手続きに必要なもの

  • 診察券
  • マイナンバーカードまたは資格確認証
  • 介護保険証(介護認定を申請している方)
  • 入院申込書および入院履歴確認書
  • 服用中の薬(当院・他院のお薬すべて)
  • ※入院中、当院で処方された薬以外の服用は、主治医の指示が必要です。
  • お薬手帳・薬剤情報提供書(薬の説明書)など
  • 入院案内

お持ちの方のみ

  • 検査や手術等の同意書
  • 限度額認定証
  • 公費受給者証等

契約健康保険組合一覧

健診センターなかのでは、次の健康保険組合と契約しています。
これ以外の健康保険組合に加入されている方で、人間ドックを希望される方は、お問い合わせ下さい。

人間ドック契約健康保険組合(順不同)

  • BIJ健康保険組合
  • DOWA健康保険組合
  • FUJI健康保険組合
  • NTPグループ健康保険組合
  • NXグループ健康保険組合
  • アイシン健康保険組合
  • イオン健康保険組合
  • エヌ・ティ・ティ健康保険組合
  • カリモク健康保険組合
  • サーラグループ健康保険組合
  • ジェイテクト健康保険組合
  • シキシマパン健康保険組合
  • スズケン健康保険組合
  • デンソー健康保険組合
  • トーエネック健康保険組合
  • トヨタ関連部品健康保険組合
  • トヨタ自動車健康保険組合
  • トヨタ車体健康保険組合
  • トヨタ販売連合健康保険組合
  • トヨタ紡織健康保険組合
  • ナオリ健康保険組合
  • ニチバン健康保険組合
  • マキタ健康保険組合
  • 愛三工業健康保険組合
  • 愛知県トラック事業健康保険組合
  • 愛知県公立高等学校教職員退職互助会
  • 愛知県市町村職員共済組合
  • 愛知県自動車販売健康保険組合
  • 愛知県情報サービス産業健康保険組合
  • 愛知県中小企業共済協同組合
  • 愛知県都市職員共済組合
  • 愛知県農協健康保険組合
  • 愛知県薬剤師国民健康保険組合
  • 愛知陸運健康保険組合
  • 愛鉄連健康保険組合
  • 朝日生命健康保険組合
  • 小島健康保険組合
  • 産業機械健康保険組合
  • 住友重機械健康保険組合
  • 全国印刷工業健康保険組合
  • 全国健康保険協会
  • 全国土木建築国民健康保険組合
  • 中央建設国民健康保険組合
  • 中部電力健康保険組合
  • 東京金属事業健康保険組合
  • 東京証券業健康保険組合
  • 東京織物健康保険組合
  • 日生協健康保険組合
  • 日本私立学校振興共済組合
  • 日本車輌健康保険組合
  • 日本生命健康保険組合
  • 日本郵政株式会社
  • 豊田自動織機健康保険組合
  • 三菱自動車健康保険組合
  • 三菱UFJ銀行健康保険組合
  • 山崎製パン健康保険組合

人間ドック契約代行機関名(順不同)

バリューHR
イーウェル
ベネフィット・ワン
ケーシップ
ホームネット
LSIメディエンス
東京都総合組合保健施設振興協会
日本健康文化振興会
日本予防医学協会
労働衛生協会


オプション検査

任意の検査が追加で受けられます。

健診の追加項目として、次の項目を任意で追加していただくことが出来ます。
※表示料金はすべて税込み料金です。

1.骨密度検査

基本料金主な目的検査方法
1,980円骨粗しょう症骨密度測定(エックス線)

2.乳がん検査

基本料金主な目的検査方法
乳腺超音波3,850円乳房腫瘍超音波
マンモグラフィ5,170円乳房腫瘍デジタルマンモグラフィ(エックス線)

3.子宮(頸部)がん検査

基本料金主な目的検査方法
3,850円子宮がん子宮頸部の細胞採取

4.腹部超音波検査

基本料金主な目的検査方法
5,500円腹部腫瘍・結石超音波

5.甲状腺超音波検査

基本料金主な目的検査方法
3,300円甲状腺腫瘍超音波

6.甲状腺検査

(TSH,FT3,FT4)

基本料金主な目的検査方法
5,500円甲状腺疾患採血

7.肝炎ウィルス検査

基本料金主な目的検査方法
HBs抗原440円B型肝炎採血
HCV抗体1,650円C型肝炎採血
HBs抗体495円B型肝炎抗体採血

8.眼圧検査

基本料金主な目的検査方法
1,100円緑内障眼圧計

9.視野検査

基本料金主な目的検査方法
1,430円緑内障視野計

10.眼底検査

基本料金主な目的検査方法
990円網膜の異常眼底カメラ

11.血液型

基本料金主な目的検査方法
660円ABO型+Rh型採血

12.血圧脈波検査

基本料金主な目的検査方法
2,200円動脈硬化血圧脈波測定

13.肺がんセット

基本料金主な目的検査方法
喀痰細胞診(1回法)15,950円肺腫瘍痰を採取
胸部単純CT検査ヘリカルCT(エックス線)

14.頭部単純CT検査

基本料金主な目的検査方法
13,750円脳腫瘍ヘリカルCT(エックス線)

15.腹部単純CT検査

基本料金主な目的検査方法
13,750円腹部腫瘍ヘリカルCT(エックス線)

16.胸部単純CT検査

基本料金主な目的検査方法
13,750円胸部腫瘍ヘリカルCT(エックス線)

17.CT肺気腫検査

胸部単純CT検査とセット

基本料金主な目的検査方法
15,950円胸部腫瘍・肺気腫ヘリカルCT(エックス線)

18.CT内臓脂肪検査

基本料金主な目的検査方法
3,300円内臓脂肪型肥満の評価ノンヘリカルCT(エックス線)

19.腫瘍マーカー

基本料金主な目的検査方法
CEA1,540円大腸腫瘍採血
AFP1,540円肝臓腫瘍採血
CA19-91,870円膵臓・胆道腫瘍採血
PSA1,870円前立腺腫瘍採血
CA1252,200円卵巣腫瘍採血
CA15-31,760円乳腺腫瘍採血
SCC抗原1,760円肺・食道・子宮頸部腫瘍採血
サイトケラチン19フラグメント(シフラ)2,530円肺腫瘍(扁平上皮がん)採血

20.アディポネクチン(メタボリックシンドローム)

基本料金主な目的検査方法
3,300円内臓脂肪採血

21.ヘモグロビンA1c

基本料金主な目的検査方法
660円糖尿病採血

22.尿素呼気試験(UBT)

基本料金主な目的検査方法
6,050円ピロリ菌感染呼気を採取

23.NT-proBNP

基本料金主な目的検査方法
1,870円心不全のリスク診断採血

24.胃がんリスク検診

基本料金主な目的検査方法
5,500円胃がんのリスク診断採血

25.便潜血検査

基本料金主な目的検査方法
1,100円消化管からの出血採便

26.ヒト・パピローマウィルス(HPV検査)

基本料金主な目的検査方法
4,400円子宮がん検査子宮内の粘膜採取

胃食道逆流症(逆流性食道炎・非びらん性胃食道逆流症)

外科副部長:前田頼佑

胃の内容物が食道へ逆流することにより起こる病態を胃食道逆流症(Gastro Esophageal Reflux Disease:GERD)といいます。通常、胃と食道のつなぎ目は胃の中の胃酸や食事の逆流を防いでいるのですが、このつなぎ目が広がったり(食道裂孔ヘルニア)、食道や胃に内容物が停滞したり、胃酸分泌が増えたりすることで発症します。また、ピロリ菌に感染していない、もしくは除菌した人は胃酸分泌が増えるため発症しやすいとも言われます。

日本において1980年代には成人で1.6%前後だった有病率は、食生活の欧米化やピロリ菌感染率の低下に伴い現在では10~20%と報告されており増加しております。

GERDは以下の2タイプに分けられます。

①内視鏡検査で食道粘膜にただれ、潰瘍など を認めるびらん性GERD(いわゆる逆流性食道 炎)。このタイプには症状が無い場合もあり ます。
②内視鏡検査で異常はないが症状のみを認め る非びらん性GERD。
逆流性食道炎は高齢者、男性、喫煙者、肥満の人に多く、非びらん性GERDは女性、やせ形の人に多い傾向があると言われています。どちらも症状は同じなのですが病態は必ずしも同じではありません。逆流性食道炎が酸によって食道粘膜が炎症を起こし発症するのに対して、非びらん性GERDは粘膜に炎症は起こしませんが、食道の知覚が過敏になる等の理由で少量の酸や酸以外の液体が逆流しても発症してしまうと考えられています。



なので、後述するようにGERDの治療は胃酸の分泌を抑制する薬がはじめに使われますが、酸以外の液体でも症状が出てしまう非びらん性GERDでは、逆流性食道炎と比べてこの薬が効きにくい傾向があります。その場合は他の薬を併用することで症状の改善が見込める場合もあります。逆流性食道炎かもと思い受診された方で内視鏡検査を受けても異常が無いと言われた方は非びらん性GERDかもしれません。



症状

胸焼け(みぞおちの上のじりじりするような感じやしみる感じなど)、呑酸(酸っぱい液体が上がってくる感じ)が代表的な症状です。他にも食事の詰まり感や飲み込みづらさ、胸痛といった症状もあります。また、食道の症状だけではなく長引く咳、喘息、のどの違和感・痛みを起こすこともあります。

診断

まずGERDと診断するためには症状の確認が必要です。前述の症状があるかどうかでGERDと診断、もしくは疑うのですが、その際に問診票などを用いることもあります。



次に内視鏡検査を行います。逆流性食道炎なのか非びらん性GERDなのか、逆流性食道炎だとしたら粘膜の炎症の程度はどれくらいなのかを調べます。内視鏡検査を行わずに胃酸分泌を抑制する薬を飲んで症状が改善したらGERDと診断する方法もあります。これは簡便で検査を行わない楽な方法ではありますが、時にGERDの症状で内視鏡を行ったら癌が原因だったということもあるので注意が必要です。
他に食道に電極モニターを留置して胃酸や酸以外の内容物の逆流を24時間測定する24時間食道インピーダンス・pHモニタリングなどがあります。



治療

①生活習慣の改善

●食べ過ぎない、肥満を解消する、禁煙、アルコールや刺激物の摂取を避ける。
●食後すぐに横にならない、上半身を高くして寝る。
●前屈みの姿勢、ベルトやコルセットで腹部を 締め付け過ぎないようにする。

②薬物療法

●酸分泌抑制薬
胃酸の分泌を抑制する薬で、GERDを治療する上で最も重要な薬です。プロトンポンプ阻害剤(PPI:タケプロン、パリエット、ネキシウム、ラベプラゾール、ランソプラゾールなど)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB:タケキャブ)、H2ブロッカー(アシノン、プロテカジン、ガスターなど)があります。この中ではP-CABが最も強く酸を抑制しますが、どの薬剤を使用するかは症状や内視鏡検査などを参考に決定します。
●粘膜保護薬
食道の粘膜を保護して酸から守ります。アルギン酸塩(アルロイドG)があります。
●制酸薬
胃酸を中和する薬です。
●消化管運動機能改善薬・漢方薬
食道や胃の運動を改善し胃酸や胃の内容物を排出する薬です。ガスモチンや六君子湯などがあります。
●手術
薬による治療が無効だったり、食道裂孔ヘルニアがひどい場合には手術も考慮されます。

さいごに

GERDの治療をいつまで続ければよいかという質問を受けることがあります。GERDは症状や経過の個人差が大きい病気なので、はっきりとした答えはありません。一般的には8週間の薬物治療後に症状が改善していれば治療の終了を検討します。ただ、内視鏡検査で重症の場合は治療を継続することが勧められますし、軽症の場合や非びらん性GERDでも薬を飲まないと症状が再燃する場合は治療を継続することが望ましいです。また、オンデマンド療法といって治療を終了した後に症状が再発したら薬を飲み、改善したらやめるという治療法もあります。どういった治療が必要か、医師と相談しそれぞれに合った治療をしましょう。


胆石について

医師:加藤 瑛

はじめに

胆石は胆嚢や胆管にできた結石であり、結石のできる場所により胆嚢結石症、総胆管結石症、肝内胆管結石症に分類されます。胆嚢内に結石ができる胆嚢結石症には一時的な痛みである胆石発作、熱発を伴い痛みが持続する胆嚢炎がありますが、いずれも心窩部(みぞおち)から右上腹部の強い痛みが出現します。今回は胆嚢結石症について説明します。

胆石とは

胆嚢とは肝臓に付着する小さな袋状の臓器です。肝臓では消化液である胆汁を1日に約500~800ml作り、この胆汁は一時的に胆嚢へ貯蔵されてから腸へ流れていきます。この胆汁が胆嚢内で固まって胆石が作られます。統計では日本人の約5%が胆石を持っていると言われています。胆石ができる原因として、体質や生活習慣、加齢による胆嚢の収縮機能低下が関連しています。朝食を抜く、極端なダイエットなど不規則な生活を続けていると、胆汁が十二指腸へ流れずに胆嚢内にとどまることで胆石ができやすくなるとされます。



症状

通常、胆嚢内に結石があるだけでは特に症状はありません。しかし、胆石が移動して胆嚢の出口の部分に嵌り込むことにより胆嚢内の圧が上昇して痛みが出現し、これを胆石発作と呼びます。これは食事の後、特に脂肪分が多い食事を食べた後に起こることが多いとされます。痛みの部位は心窩部、右上腹部,背中に出現することが多いです。痛みは数時間続くこともありますが、通常は自然に改善します。しかし胆石発作が改善せず胆嚢に炎症を起こすと、胆嚢炎の状態となり発熱と強い腹痛が出現して入院治療が必要となります。

診断

胆石による症状を疑う場合は、まず腹部超音波検査や腹部CT検査を行い胆石の有無、胆嚢壁の肥厚を確認します。また胆嚢炎では、血液検査で炎症反応の上昇や肝酵素の上昇を認めることがあります。




胆石の治療

健診などで偶然胆石が指摘される場合もありますが、痛みがなければ基本的に治療の必要はありません。しかし、痛みが無い場合でも胆嚢壁が厚くなっているなど胆嚢癌の可能性が考えられる場合は治療の対象となります。胆石が痛みの原因となっている場合は治療が必要になります。治療は胆石のある胆嚢を摘出する手術となります。手術以外の治療法として、薬で胆石を溶かす溶解療法や、衝撃波を当てて胆石を細かく砕く体外衝撃波破砕術がありますが、治療効果も乏しく現在ではほとんど行われません。手術の方法は、以前は開腹手術が中心でしたが,現在では腹腔鏡手術といってお腹に小さな穴を開けて胆嚢を取り出す手術を行います。開腹手術よりも傷が小さいため、体への負担が少なく術後の回復が早くなります。胆石発作の状態であれば手術を急ぐ必要はありません。しかし、短期間に胆石発作を繰り返している場合は胆嚢炎を発症する危険性が高く、早めに手術を行う事をお勧めします。胆嚢炎になった場合は入院での治療が必要となります。状況に応じて緊急手術を行う場合、抗生剤治療や穿刺ドレナージ(体外から胆嚢を穿刺し感染を起こした胆汁を排出する)を行って炎症をコントロールした後に手術を行う場合などがあります。胆嚢炎の炎症が強い場合は、腹腔鏡手術が難しくなり開腹手術となることもあります。



胆嚢摘出の影響は?

胆嚢は肝臓で作られた胆汁を一時的に貯めておく臓器であり、胆嚢の摘出後も胆汁は肝臓で作られて十二指腸へ流れていきます。胆嚢の摘出後は脂肪分の多い食事をとると便が柔らかくなることがありますが、多くの場合は徐々に体が慣れていくので心配はいりません。

さいごに

胆石症の症状は心窩部や背中の痛みなどですが、最初は胆石が原因であるとわかりにくい事があります。このような症状が出現し困っている方、既に胆石を指摘されていて痛みが出ている方は、一度受診していただくことをお勧めします。


虚血性腸炎とは

医師:齋藤 慎一郎

 下血で見つかる病気は多数ありますが、その中でも虚血性腸炎は比較的多く認められます。今回はこの病気について解説していきます。

虚血性腸炎とは

 この病気は、大腸の末梢血管に虚血(血流障害)が起こり、炎症や潰瘍などが発生し、そのために下腹部痛や血液の混じった下痢などの症状が起こる病気です。原因としては、高血圧、糖尿病、高脂血症などによる動脈硬化(血管側の因子)と、便秘や腸の運動亢進(腸管側の因子)などが関与しているといわれています。
 虚血性腸炎は女性の方が2~3倍多く発症し、大腸の中でもS状結腸や下行結腸といった左側の大腸に起こりやすいといわれています。
 年齢でみると、50から70歳の方に多く起こりますが、若年者でもこの病気は発生し、高齢者より症状が軽い傾向があります。
 この病気の原因を考えてみると、血管側の因子である動脈硬化などが認められない若年者にも発症することより、腸管側の因子がこの病気の本質的な原因であると考えられています。若年者発症にくらべて、高齢者の方が重症化する傾向があることより、血管側の因子が加わることで症状が強くなると推測されます。
 虚血性腸炎には分類があり、一過性型、狭窄型、壊死型などに分かれています。
 一過性型が70~90%と最も多く認められます。これは大腸の比較的浅い部分に炎症を認め、粘膜のむくみ、潰瘍形成、出血などが起こりますが、治療により数週間程度で治癒することがほとんどです。
 狭窄型は大腸の炎症が一過性型より深い層まで起こり、数週間から数ヶ月の期間で大腸が硬く変化し、内腔が狭くなり狭窄が起こります。狭窄の程度によっては手術などの追加治療が必要となります。
 壊死型は稀ですが血流障害により腸が壊死してしまい、腹膜炎が起こります。一過性型に比べて高齢者で動脈硬化のある方に多く、緊急手術が必要となる場合もあります。



虚血性腸炎の診断

 この病気の診断としては、症状や既往歴などが大切です。たとえば、便秘時の下剤内服後に強い下腹部の痛みや下痢、その後の下血などが認められると虚血性腸炎を疑います。他に似た症状を起こす病気として、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、薬剤性大腸炎などもあります。
 検査としては血液検査、便培養検査、腹部CT、大腸内視鏡検査などが行われています。血液検査では炎症の程度により、白血球やCRP値の上昇が認められます。
 大腸内視鏡検査では大腸粘膜の縦に走る炎症が特徴的ですが、炎症の程度により検査所見も様々です。【写真1】では、大腸粘膜の表面に縦方向の赤い粘膜変化があり、比較的軽い虚血性腸炎を認めます。【写真2】では大腸粘膜の縦方向の赤みが先程より目立ち、白い線状の変化も認め、より強い炎症を認めます。【写真3】では大腸の半周に渡る血色不良を認め、さらに強い炎症を認めます。



 また狭窄型のように大腸の内腔が狭くなった場合には、注腸X線検査(バリウム検査)で【写真4】の様に大腸の狭窄が認められます。



治療

 治療としては腸の安静が大切であり、基本的には入院治療となります。腸の安静とは、食事を中止もしくは消化の良いものに替え、場合によっては点滴等を行って大腸を休ませることです。
 一過性型の場合は、数日~1週間ほどで症状は改善し、そのまま数週間で治癒します。炎症が強い場合は、細菌による二次感染予防のため抗菌剤を使用することもあります。
 炎症が大腸の深い層まで達している場合は、狭窄型に移行するものもあります。改善が乏しい場合には大腸内視鏡や手術による追加処置が必要となることもあります。
 稀な壊死型の場合は、緊急手術が必要となります。

最後に

 この病気は、動脈硬化等の血管側因子や便秘症等の腸管側因子が原因となっています。ですから、こういった因子を持っている方は虚血性腸炎という病気を繰り返す場合もあります。また、再発を繰り返すことで重症化するという報告もあるようです。
 予防のためには、普段より基礎疾患が悪くならないように生活習慣病を改善することや、便秘症のある方は下剤や生活改善で排便を調節することが大切です。


腸閉塞について

医師:神谷 賢吾

腸閉塞とは

イレウスともいい、何らかの原因で消化管の通過障害が起こり、口側の腸管に腸管ガスや腸液などの消化液・摂取物などが貯留し腸管内圧の上昇を来した状態です。物理的な腸管閉塞による機械的イレウスと腸管運動異常による機能的イレウスに分けられます。

機械的イレウス(物理的な腸管閉塞)

単純性(閉塞性)イレウス

癒着や腫瘍などによる閉塞(血行障害のないもの)

複雑性(絞扼性)イレウス

腸管の絞扼・捻転による閉塞(血行障害のあるもの)



機能的イレウス(腸管運動異常によるもの)

麻痺性イレウス

腹膜炎などのお腹のなかの炎症などによる腸管運動の低下

痙攣性イレウス

腸管運動の亢進が原因だが、非常にまれである

イレウスの中では機械的イレウスが最も多く、なかでも手術後の癒着が原因で起こる術後癒着性イレウス(閉塞性)が最もよくみられます。癒着とは、隣り合った臓器が密着したまま間に結合組織がつくられてしまい、お互いがくっついてしまうことです。お腹の手術では手術ではがされた腸同士や内臓脂肪、腸と壁などの間でよくみられます。多くの場合、癒着で腸がくっついていても、腸の内容物が流れていれば問題ありませんが、癒着の部分で腸が狭くなったり屈曲したり、癒着によってできた隙間に腸がはまりこんだりすることで腸の内容物が流れなくなると腸閉塞となります。

症状

おなかの張り・痛み、吐き気・嘔吐を起こしたり、おなら・排便が出なくなります。絞扼性イレウスなどの血行障害を伴う場合は特に強い腹痛がみられます。麻痺性イレウスでは腹痛・嘔吐がみられますが、全身的所見は軽く、痛みがないこともあります。

検査

腹部単純X線検査では腸管の拡張や腸管内の液体が水面状にうつる鏡面像(ニボー)が特徴的です。



CT検査を行うことで閉塞の部位・原因などをさらに詳しく調べることができ、造影剤を用いると血行障害がないかの鑑別も可能です。



血液検査では炎症所見や脱水、電解質異常がみられることがありますが、特に異常がみられないことも多くあります。

治療

閉塞性イレウス

治療の基本は絶食と点滴による保存的治療であり、通常は入院治療が必要となります。軽症では絶飲食のみで改善します。また鼻から胃の中まで管(胃管)をいれて胃腸内容物を排出することで口側腸管の減圧を行います。胃管で胃内容を減らすだけで良くなることもありますが、改善が乏しい場合には小腸まで到達する1m以上の長さがあるイレウス管を用いて小腸内容液を吸引しさらに減圧します。



保存的治療で改善しない場合では手術が必要になります。まず腸管の通過が元通りになるよう癒着を剥離します。癒着がひどい場合には腸管切除を行うこともあります。手術をしても再び癒着することは避けられないので、術後も注意が必要です。
大腸癌などによる腸閉塞で鼻からのイレウス管では十分な減圧効果が期待できないときには肛門から大腸癌の口側まで管(経肛門的イレウス管)を入れて腸管の減圧を行いますが、人工肛門手術が必要な場合もあります。減圧により口側腸管の状態改善を待ち、その後切除を行います。

複雑性イレウス

腸管が血行障害で完全に壊死すると腹膜炎を生じて感染や穿孔など命に関わる状態になるので緊急手術が必要となります。閉塞部を解除して血流が回復し、腸の状態が良くなれば問題ありませんが、血流が回復しなければ腸を切除します。

麻痺性イレウス

腸管麻痺の原因疾患の治療を行います。腹膜炎など重篤な疾患が原因の場合は手術が必要なこともあります。腹部手術後の麻痺性イレウスには蠕動亢進薬が有効です。

おわりに

腸閉塞は様々な原因で起こりますが、確実な予防法はありません。癒着が原因となることが多いため、腹部手術を受けたことがある人は、急な便秘・おなかの張りがみられた場合には早めに病院を受診しましょう。
また腸閉塞を繰り返す場合には、消化の良い食事を心がけたり、定期的な薬の内服による便通コントロールも必要になりますので、医師にご相談ください。