その他の健診
一般健康診断その1
(労働安全衛生法第66条第1項で定められた健康診断)
雇入時の健康診断(労働安全衛生規則第43条)
常時使用する労働者を雇用した時に実施することとされています。
定期健康診断(労働安全衛生規則第44条)
常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回定期健康診断を実施することとされています。
定期健康診断等の検査項目
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、視力及び聴力の検査
- 胸部エックス線検査及び聴力の検査
- 血圧の測定
- 貧血検査(赤血球数、ヘモグロビン)
- 肝機能検査(AST,ALT,γ-GTP)
- 血中脂質検査(血清総コレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
- 血糖検査
- 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無)
- 心電図検査(安静時心電図検査)
雇入時健康診断の検査項目について、4の喀痰検査は不要です。また、色覚検査は平成13年10月1日に廃止されました。定期健康診断の検査項目について、医師が必要でないと認めるときに省略することができる基準が次のように定められています。
省略基準
- 身長検査:20歳以上の者。
- 聴力検査:45歳未満の者(35歳と40歳を除く)については、医師が適当と認める聴力検査に代えることができる。
- 喀痰検査:胸部エックス線検査で病変が発見されない者及び結核発病のおそれがない者。
- 6,7,8,9,10,11:40歳未満の者(35歳の者を除く)。
- 尿中の糖検査:血糖検査を受けた者。
特定業務従事者の健康診断(労働安全衛生規則第45条)
次の業務に常時従事する労働者に対しては、当該業務への配置替えの際及びその後6ケ月以内ごとに1回、定期健康診断と同じ項目の健康診断を実施することとされています。(但し、胸部エックス線検査及び喀痰検査は年1回)
省略基準は定期健康診断と同じです。また、前回の健康診断において6.78.9及び11の検査項目について健康診断を受けた者については、医師が必要でないと認めるときは、当該項目の全部又は一部を省略して行うことができると定められています。
特定業務(労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げられた業務)
- イ.多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
- ロ.多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
- ハ.ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
- 二.土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
- ホ.異常気圧下における業務
- へ.さく岩機、鋲(びょう)打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
- 卜.重量物の取扱い等重激な業務
- チ.ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
- リ.坑内における業務
- ヌ.深夜業を含む業務
- ル.水銀、砒(ひ)素、黄りん、弗(ふつ)化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
- ヲ.鉛、水銀、クロム、砒(ひ)素、黄りん、弗(ふつ)化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
- ワ.病原体によって汚染のおそれが著しい業務
- 力.その他厚生労働大臣が定める業務(現在、未設定)
一般健康診断その2
(労働安全衛生法第66条第1項で定められた健康診断)
海外派遣労働者の健康診断(労働安全衛生規則第45条の2)
労働者を海外の地域に6ケ月以上派遣をしようとするとき、あるいは、6ケ月以上海外の地域に派遣した労働者を国内の業務に就かせるときは、当該労働者に対し、定期健康診断と同じ項目の健康診断を実施することとされています。また、厚生労働大臣が定める下記項目のうち、医師が必要であると認める項目について、健康診断を実施することとされています。
定期健康診断等を受けた者については、当該健康診断の実施の曰から6ヶ月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができます。
省略基準は定期健康診断と同じです。
労働安全衛生規則第45条の2第1項及び第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める項目
- 腹部画像検査(胃部エックス線検査、腹部超音波検査)
- 血中の尿酸の量
- B型肝炎抗体検査
- ABO式、Rh式の血液型検査(派遣前に限る)
- 糞便塗抹検査(帰国時に限る)
結核健康診断(労働安全衛生規則第46条)
定期健康診断等において、結核の発病のおそれがあると診断された労働者に対し、概ね6ケ月後に下記項目について健康診断を実施することとされています。
2の項目については、医師が必要でないと認めるときは、省略することができます。
- エックス線直接撮影による検査及び喀(かく)痰(たん)検査
- 聴診、打診その他必要な検査
給食従業員の検便(労働安全衛生規則第47条)
事業に附属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際又は当該業務への配置替えの際に、検便による健康診断を実施することとされています。
検便:寄生虫卵及び伝染病保菌者発見のための細菌学的検査。
短時闇労働者に対する健康診断について
パート、アルバイト等の短時間労働者についても、次の1~3のいずれかで、1週間の所定労働時間が、同事業場の同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上であるときは、常時使用する労働者に該当し、健康診断を実施すべきとされています。また、同労働時間が概ね2分の1以上である者に対しても実施することが望ましいとされています。
- 期間の定めのない労働契約により使用される者。
- 期間の定めのある労働契約により使用される者であるが、当該契約の更新等により1年(特定業務従事者にあっては6ヶ月。)以上使用されることが予定されている者。
- 期間の定めのある労働契約により使用される者であるが、当該契約の更新等により1年(特定業務従事者にあっては6ヶ月。)以上使用されている者。
(平5.12.1基発第663号短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について)
特殊健康診断
(労働安全衛生法第66条第2,3項及びじん肺法で定められた健康診断)
電離放射線健康診断(電離放射線障害予防規則第56条)
放射線業務(労働安全衛生法施行令第22条第1項第2号)に従事し、管理区域に立ち入る労働者に対して、雇い入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後6ケ月以内ごとに1回、定期に、電離放射線障害予防規則第56条に定められた項目の健康診断を実施することとされています。
鉛健康診断(鉛中毒予防規則第53条)
鉛業務(労働安全衛生法施行令第22条第1項第4号)に従事する労働者に対して、雇い入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後6ケ月(労働安全衛生法施行令別表第17号及び鉛中毒予防規則第1条第5号リからルまでに掲げる鉛業務又はこれらの業務を行う作業場所における清掃の業務に従事する労働者に対しては、1年)以内ごとに1回、定期に、鉛中毒予防規則第53条に定められた項目の健康診断を実施することとされています。
四アルキル鉛健康診断(四アルキル鉛中毒予防規則第22条)
四アルキル鉛業務(労働安全衛生法施行令第22条第1項第5号)に従事する労働者に対して、雇い入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後3ケ月以内ごとに1回、定期に、四アルキル鉛中毒予防規則第22条に定められた項目の健康診断を実施することとされています。
有機溶剤健康診断(有機溶剤中毒予防規則第29条)
有機溶剤業務(労働安全衛生法施行令第22条第1項第6号)に従事する労働者に対して、雇い入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後6ケ月以内ごとに1回、定期に、有機溶剤中毒予防規則第29条に定められた項目の健康診断を実施することとされています。
特定化学物質等健康診断(特定化学物質等障害予防規則第39条)
特定化学物質業務(労働安全衛生法施行令第22条第1項第3号<石綿関係業務を除く>)に従事する労働者に対して、雇い入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後6ケ月(ベリリウム及びニッケルカルボニルを取り扱う労働者に対する胸部エックス線直接撮影による検査は、1年)以内ごとに1回、定期に、特定化学物質等障害予防規則第39条に定められた項目の健康診断を実施することとされています。また、特定化学物質業務(労働安全衛生法施行令第22条第2項に定められた業務から石綿関係業務を除いたものに限る)に従事した労働者に対しても同様の健康診断を実施することとされています。
石綿健康診断(石綿障害予防規則第40条)(平成17年7月1日より特定化学物質等健康診断より分離)
石綿業務(労働安全衛生法施行令第22条第1項第3号<石綿関係業務に限る>)に従事する労働者に対して、雇い入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後6ケ月以内ごとに1回、定期に、石綿障害予防規則第40条に定められた項目の健康診断を実施することとされています。また、石綿業務(労働安全衛生法施行令第22条第2項に定められた石綿関係業務に限る)に従事した労働者に対しても同様の健康診断を実施することとされています。
じん肺健康診断(じん肺法第3条、7~9条の2)
じん肺にかかるおそれのある粉じん作業(じん肺法施行規則第2条、同規則別表)に従事する又は従事した労働者に対し、就業時、定期、定期外、離職時に、じん肺法第3条に定められた項目の健康診断を実施することとされています。
健康診断結果に基づく事後措置(労働安全衛生法第66条の4,5)
健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、事業者は、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならないとされており、また、その意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備その他の適切な措置を講じなければならないとされています。
健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(平成8年10月1日労働省公示1号)
深夜業従事者の自発的健康診断(労働安全衛生法第66条の2)
深夜業に従事する労働者であって、自己の健康に不安を有する者が、次回の定期健康診断を待つことなく自らの判断で受診し、その結果を事業者に提出することができるとされています。
- 自発的健康診断の項目は、定期健康診断と同じ項目です。
- 自発的健康診断の結果を事業者に提出することができる労働者は、常時使用される労働者であって該当健康診断を受診する日以前6月間を平均して1月あたり4回以上深夜業に従事した方です。
- 事業者に自発的健康診断結果を提出できるのは、当該健康診断を受けた曰から3ケ月以内です。
なお、この自発的健康診断については、その費用の3/4(上限7,500円)を助成する制度があります。
指導勧奨による特殊健康診断
(昭和31年5月18日付基発第308号ほか)
※以下の検査は、当健診センターでは実施できないものもありますので、予めお問い合せください。
- 紫外線・赤外線にさらされる業務
- 著しい騒音を発生する屋内作業場などにおける騒音作業
- マンガン化合物(塩基性酸化マンガンに限る)を取り扱う業務、又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
- 黄りんを取り扱う業務、又はりんの化合物のガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
- 有機りん剤を取り扱う業務、又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
- 亜硫酸ガスを発散する場所における業務
- 二硫化炭素を取り扱う業務、又はそのガスを発散する場所における業務(有機溶剤業務に係るものを除く。)
- ベンゼンのニトロアミド化合物を取り扱う業務、又はそれらのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
- 脂肪族の塩化又は臭化化合物(有機溶剤として法規に規定されているものを除く。)を取り扱う業務、又はそれらのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
- 砒素又はその化合物(三酸化砒素を除く。)を取り扱う業務、又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
- フェニル水銀化合物を取り扱う業務、又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
- アルキル水銀化合物(アルキル基がメチル基又はエチル基であるものを除く。)を取り扱う業務、又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
- クロルナフタリンを取り扱う業務、又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
- 沃素を取り扱う業務、又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務
- 米杉、ネズコ、リョウブ又はラワンの粉じん等を発散する場所における業務
- 超音波溶着機を取り扱う業務
- メチレンジフェニルイソシアネート(M.D.I)を取り扱う業務、又はこのガス、若しくは蒸気を発散する場所における業務
- フェザーミル等飼肥料製造工程における業務
- クロルプロマジン等フェノチアジン系薬剤を取り扱う業務
- キーパンチャーの業務
- 都市ガス配管エ事業務(一酸化炭素)
- 地下駐車場における業務(排気ガス)
- チェーンソー使用による身体に著しい振動を与える業務
- チェーンソー以外の振動工具(さく岩機、チッピングハンマー、スインググラインダー等)の取り扱い業務
- 重量物取り扱い業務、介護作業など腰部に著しい負担のかかる業務
- 金銭登録の業務
- 引き金付エ具を取り扱う作業
- 介護作業など腰部に著しい負担のかかる作業(平成11年より、25.に移行)
- VDT作業
- レーザー機器を取り扱う業務、又はレーザー光線にさらされるおそれのある業務