以心会

顆粒球除去療法(GCAP)

血球成分除去療法とは


血液中の白血球などを吸着除去や機能変化をもたらす治療法で、一般に白血球除去療法とも言いわれます。ビーズによる顆粒球吸着除去療法(GCAP:ジーキャップ)、フィルターによる方法(LCAP:エルキャップ)、遠心法の3種類があり、潰瘍性大腸炎やクローン病の治療に用いられています。
当院では、ビーズによる顆粒球吸着除去療法(GCAP:ジーキャップ)を行っています。


顆粒球吸着除去療法について


この治療は、血液の一部を体外へ連続的に取り出し白血球の特に顆粒球・単球を選択的に除去する白血球成分除去療法用吸着器に通し、その後、血液を体内に戻します。
当院での循環時間は90分です。1度の活動期につき潰瘍性大腸炎の治療としては10回または11回まで、クローン病の治療では10回まで実施が可能です。
この血液を体外に取り出す治療法は体外循環療法と言い、いろいろな疾患や難病で数多く行われています。

当院での顆粒球吸着療法の治療の流れ

  1. 治療時間は100分程度ですので、事前にお手洗いを済ませてください。
  2. 血圧測定などを行い、体調をチェックします。
  3. 両腕の血管に注射針を刺します。
  4. 顆粒球吸着除去療法専用機器を使用して治療を行います。片方の腕から、ポンプにより体外へ連続的に血液を取り出し、反対の腕へ戻します。
  5. 回路内のすべての血液を体内に戻し、抜針・止血し終了となります。※ 約10分程度
  6. 治療後はしばらく安静にしてください。


※血液を固まらせにくくするお薬を使用し、90分間循環させます。
※当院では穿刺時の痛み軽減のため針挿入部に張る痛み軽減湿布剤を使用しています。


治療のスケジュール

顆粒球吸着除去療法は下記のように行われます。
当院は、入院・外来の両方において顆粒球吸着除去療法が施行可能施設です。



予想される効果と副作用


潰瘍性大腸炎に対して顆粒球吸着療法を行うことにより、下痢や血便、発熱などの症状や内視鏡的粘膜所見も改善され、ステロイド剤の減量やステロイド剤を服用しなくても済む可能性があります。有効率は、臨床試験時の成績で59%、発売後の使用成績調査では77%(002/656例)※でした。
クローン病に対する有効率は、臨床試験におけるCDAI※※の評価で44%(8/18例)でした。
副作用は、潰瘍性大腸炎の臨床試験時には8.5%(5/59例)に、クローン病の臨床試験時には28.6%(6/21例)の患者さんに見られました。
治療中に副作用と思われる症状(発熱、頭痛、めまい、飛蚊症様眼症状、立ちくらみ、疼痛、気分不良、動悸、顔面発赤、嘔気、鼻閉、皮疹など)が現れた場合には、医療スタッフにすぐにお申し出ください。
その他、体外循環中に用いる抗凝固剤(血液を固まるのを防ぐための薬剤)に対してアレルギー(赤疹、痒みなど)やアナフィラキシー様症状(血圧低下、呼吸困難など)がみられる場合がありますので、薬剤に対して過敏症等の症状がある方は、主治医にお知らせください。

潰瘍性大腸炎に対するアダカラムの使用成績調査データより
クローン病の疾患活動性を判断するための指標で、腹痛、下痢の回数、体重減少などから算出する。

ME:日高 佑弥