以心会

胆石について

医師:加藤 瑛

はじめに

胆石は胆嚢や胆管にできた結石であり、結石のできる場所により胆嚢結石症、総胆管結石症、肝内胆管結石症に分類されます。胆嚢内に結石ができる胆嚢結石症には一時的な痛みである胆石発作、熱発を伴い痛みが持続する胆嚢炎がありますが、いずれも心窩部(みぞおち)から右上腹部の強い痛みが出現します。今回は胆嚢結石症について説明します。

胆石とは

胆嚢とは肝臓に付着する小さな袋状の臓器です。肝臓では消化液である胆汁を1日に約500~800ml作り、この胆汁は一時的に胆嚢へ貯蔵されてから腸へ流れていきます。この胆汁が胆嚢内で固まって胆石が作られます。統計では日本人の約5%が胆石を持っていると言われています。胆石ができる原因として、体質や生活習慣、加齢による胆嚢の収縮機能低下が関連しています。朝食を抜く、極端なダイエットなど不規則な生活を続けていると、胆汁が十二指腸へ流れずに胆嚢内にとどまることで胆石ができやすくなるとされます。



症状

通常、胆嚢内に結石があるだけでは特に症状はありません。しかし、胆石が移動して胆嚢の出口の部分に嵌り込むことにより胆嚢内の圧が上昇して痛みが出現し、これを胆石発作と呼びます。これは食事の後、特に脂肪分が多い食事を食べた後に起こることが多いとされます。痛みの部位は心窩部、右上腹部,背中に出現することが多いです。痛みは数時間続くこともありますが、通常は自然に改善します。しかし胆石発作が改善せず胆嚢に炎症を起こすと、胆嚢炎の状態となり発熱と強い腹痛が出現して入院治療が必要となります。

診断

胆石による症状を疑う場合は、まず腹部超音波検査や腹部CT検査を行い胆石の有無、胆嚢壁の肥厚を確認します。また胆嚢炎では、血液検査で炎症反応の上昇や肝酵素の上昇を認めることがあります。




胆石の治療

健診などで偶然胆石が指摘される場合もありますが、痛みがなければ基本的に治療の必要はありません。しかし、痛みが無い場合でも胆嚢壁が厚くなっているなど胆嚢癌の可能性が考えられる場合は治療の対象となります。胆石が痛みの原因となっている場合は治療が必要になります。治療は胆石のある胆嚢を摘出する手術となります。手術以外の治療法として、薬で胆石を溶かす溶解療法や、衝撃波を当てて胆石を細かく砕く体外衝撃波破砕術がありますが、治療効果も乏しく現在ではほとんど行われません。手術の方法は、以前は開腹手術が中心でしたが,現在では腹腔鏡手術といってお腹に小さな穴を開けて胆嚢を取り出す手術を行います。開腹手術よりも傷が小さいため、体への負担が少なく術後の回復が早くなります。胆石発作の状態であれば手術を急ぐ必要はありません。しかし、短期間に胆石発作を繰り返している場合は胆嚢炎を発症する危険性が高く、早めに手術を行う事をお勧めします。胆嚢炎になった場合は入院での治療が必要となります。状況に応じて緊急手術を行う場合、抗生剤治療や穿刺ドレナージ(体外から胆嚢を穿刺し感染を起こした胆汁を排出する)を行って炎症をコントロールした後に手術を行う場合などがあります。胆嚢炎の炎症が強い場合は、腹腔鏡手術が難しくなり開腹手術となることもあります。



胆嚢摘出の影響は?

胆嚢は肝臓で作られた胆汁を一時的に貯めておく臓器であり、胆嚢の摘出後も胆汁は肝臓で作られて十二指腸へ流れていきます。胆嚢の摘出後は脂肪分の多い食事をとると便が柔らかくなることがありますが、多くの場合は徐々に体が慣れていくので心配はいりません。

さいごに

胆石症の症状は心窩部や背中の痛みなどですが、最初は胆石が原因であるとわかりにくい事があります。このような症状が出現し困っている方、既に胆石を指摘されていて痛みが出ている方は、一度受診していただくことをお勧めします。


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